白川郷の代名詞である「合掌造り」は、豪雪地帯の過酷な自然環境に適応するため、傾斜60度にも及ぶ急勾配の茅葺き屋根と「結(ゆい)」と呼ばれる相互扶助の精神によって受け継がれてきた伝統建築です。ここでは、絶対に外せない王道名所と、一般のツアー客が見落としがちな隠れた名所を厳選して紹介します。
まず集落随一の規模を誇るのが、国指定重要文化財の和田家住宅です。江戸時代中期の建築とされ、現在も実際に生活が営まれている貴重な空間です。1階の重厚な囲炉裏の間から、2階・3階の養蚕(ようさん)場跡まで見学可能で、釘を1本も使わずに縄(ネソ)で組み上げられた小屋組みの構造美を間近で観察できます。さらに、集落内には「神田家」「長瀬家」といったそれぞれ異なる間取りや展示品を持つ公開民家があり、建築様式の違いを比較するのも深い学びとなります。
集落全体を一望できる絶景スポットとして外せないのが荻町城跡展望台です。眼下に広がる合掌造り集落と背後の白山連峰が織りなすパノラマは、ポスターやガイドブックでおなじみの風景そのものです。荻町集落からはシャトルバス(片道約200円)が約20分間隔で運行しているほか、歩行者専用の緩やかな遊歩道を登って約15〜20分でアクセスすることもできます。
そして、多くの観光客が展望台とメインストリート往復だけで帰ってしまう中、まさに「行かなきゃ損」といえる隠れた名所が、集落南端の「かん町エリア(三つ子合掌造り)」です。メイン通りから徒歩10分ほど南へ進んだ田園地帯に位置し、水田に茅葺き屋根が美しく並ぶ3棟の合掌造りが視界に収まります。初夏には青々とした早苗と水鏡、秋には黄金色の稲穂、冬には積雪と、観光客の喧騒から離れた静寂の中で極上の写真を撮影できる地元民イチオシのポイントです。
また、日本で唯一、合掌造りの本堂・庫裏(くり)・鐘楼門が揃う「明善寺(みょうぜんじ)」も必見です。特に1階が板張り、2階が萱葺きの屋根で覆われた鐘楼門は、国内でも極めて珍しい建築美を誇ります。