1980年、フジテレビ系『THE MANZAI』の放送を契機に巻き起こった昭和のマンザイブームは、それまでの演芸の枠組みを根底から覆す社会現象でした。B&B、ツービート、島田紳助・松本竜介らとともにブームの最前線を走ったのが、ぼんちおさむと里見まさとによる「ザ・ぼんち」です。
「おさむちゃんでーす!」「言うてますけども、潮時でございます」といったフレーズとともに、全身を激しく使ったハイテンションな舞台は、女子中高生を中心とするアイドル的人気を獲得。その熱狂の極致として1981年1月1日にリリースされたのが、歌「恋のぼんちシート」でした。
オリコンチャートでは最高位第2位を記録し、公称売上枚数約80万枚という、当時のコミックソングの基準を遥かに超える驚異的なセールスを記録。TBS系『ザ・ベストテン』でも連週上位にランクインし、スタジオからの中継やステージ上での大暴れはお茶の間の視線を釘付けにしました。
そして同年7月21日、ザ・ぼんちはお笑い芸人として史上初となる日本武道館単独ライブを敢行します。全国から集まった1万人以上のファンで会場は埋め尽くされ、黄色い歓声が地鳴りのように響く光景は、演芸関係者のみならず音楽業界全体に計り知れない衝撃を与えました。単なる「芸人の余興」ではなく、ロックバンドやトップアイドルと同等の熱量で若者カルチャーを動かした瞬間でした。