西谷演出の真骨頂を語る上で欠かせないのが、福山雅治との長年にわたる盟友関係だ。大ヒットを記録した『ガリレオシリーズ』において、天才物理学者・湯川学というキャラクターに血肉を通わせ、単なる謎解きにとどまらない人間ドラマへと昇華させた功績は計り知れない。
とりわけ映画史に名を刻んだ『容疑者Xの献身』では、天才数学者の悲哀と献身を圧倒的なリアリズムで描き出し、観客の涙を絞り取った。年月を経て公開された『沈黙のパレード』でも、登場人物それぞれの矜持と痛みが交錯する群像劇を見事に統率。福山雅治という稀代のスターの魅力を極限まで引き出しつつ、人間の業を冷徹かつ慈しみを持って捉える西谷のカメラワークは、まさに邦画界の至宝と呼ぶにふさわしい。