上腸間膜動脈症候群の診断を困難にしているのは、初期の自覚症状が「機能性ディスペプシア(FD)」や「急性・慢性胃炎」と極めて酷似している点です。実際に、確定診断がつくまでに複数のクリニックを渡り歩き、数カ月以上も苦しんだ患者が少なくありません。
両者を見分ける客観的基準と、診断において最も信頼される数値データを以下の比較表にまとめました。
診断において決定的な役割を果たすのが、上腸間膜動脈症候群の検査における造影CT(コンピュータ断層撮影)です。造影剤を血管内に注入しながら撮影することで、大動脈から分岐するSMAの走行、角度、血管間の距離、そして押しつぶされた十二指腸とその手前で著明に拡張した胃の様子がミリ単位の三次元画像(3D-CT)で一目瞭然となります。
また、バリウムやガストログラフィンを用いた「上部消化管造影検査(透視検査)」も極めて有効です。造影剤が十二指腸水平部で一直線に堰き止められ(Cut-offサイン)、体位変換でうつ伏せにさせた瞬間にサラサラと空腸へと流れ落ちていく動的な通過障害の様子をリアルタイムで確認することができます。