吉川愛が芸能界の門を叩いたのは、わずか3歳のときでした。コカ・コーラ「爽健美茶」のCMでデビューを果たすと、人形のような愛らしいビジュアルと物怖じしない堂々たる佇まいで、瞬く間に業界関係者の注目をさらいます。当時の芸名は本名でもある「吉田里琴」。彼女の出演作は、2000年代後半から2010年代前半の日本のテレビドラマ史を鮮やかに彩っています。
子役としての評価を決定づけたのが、2007年のTBS系ドラマ『山田太郎ものがたり』です。二宮和也演じる主人公・山田太郎の妹である五子役を演じ、貧しくとも健気に家族を支える姿が視聴者の胸を打ち、「あの子役は誰だ」「あまりにもかわいい」と大きな話題を呼びました。さらに2009年のフジテレビ系ドラマ『メイちゃんの執事』では、飛び級で大学のカリキュラムを修了した天才少女・麻々原みるく役を好演。無表情で冷徹な台詞を大人顔負けの切れ味で放つ演技は、単なる「かわいい子役」の枠を完全に超越していました。
その後も『ハガネの女』(2010年)におけるクラスの空気を支配する悪女小学生・菊田真理衣役や、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(2013年)でのアイドル予備軍役など、一筋縄ではいかない難役を次々と体現。制作陣の間では「吉田里琴に任せれば間違いなくシーンが締まる」と言わしめるほど、絶対的な信頼を勝ち得ていたのです。
また、子役時代を語る上で欠かせないのが、俳優・岡田将生との有名なエピソードです。2012年公開の映画『ひみつのアッコちゃん』の現場などで共演した際、岡田将生が彼女のあまりの愛らしさと完成された魅力に圧倒され、公の舞台挨拶で「一緒に住まない?」「なんでも買ってあげる」と熱烈に語りかけた場面は、当時ワイドショーやSNSで大きな脚光を浴びました。共演する第一線のトップ俳優たちをも虜にする特異なカリスマ性を、彼女は幼少期からすでに放っていたと言えます。