そもそも、勤務先企業はなぜ通常の住民票ではなくマイナンバーが記載された住民票を求めるのでしょうか。そのマイナンバー付き住民票の会社提出理由は、法令で定められた税および社会保障の公的届出にあります。
企業は従業員を雇用した際、以下の手続きを行う法定義務を負っています。
- 健康保険・厚生年金保険:被保険者資格取得届の提出(年金事務所・健康保険組合)
- 雇用保険:被保険者資格取得届の提出(ハローワーク)
- 税務:給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の受理および法定調書の作成
これらの手続きには従業員本人および扶養親族のマイナンバーが必要です。本来、従業員が「マイナンバーカードの現物」または「マイナンバーが印字された通知カード+身分証」を提示して番号確認を行えば、住民票を取り寄せる必要はありません。しかし、現場では「マイナンバーカードを作っていない」「通知カードを紛失して自分の番号が分からない」「結婚や引越しに伴い扶養家族の正しい番号を証明書類つきで提出しなければならない」といった事態が頻発します。
SNSやネット上の相談掲示板を検証すると、「入社直前に急にマイナンバー付き住民票を持ってこいと言われた」「カードを持っているのに会社から住民票の原本提出を強制された」という困惑の声が散見されます。調査取材によると、一部の企業では本人確認と番号確認を一度に簡便に済ませたいという事務側の都合から、一律でマイナンバー記載住民票を要求する運用が残存しており、これが労働者側の負担感や不信感につながっています。