市場参加者が同社株を語る際、避けて通れないトラウマとも言える出来事が、過去に発生した壊滅的な株価急落です。ネット上のオンコリスバイオファーマ株価急落理由をめぐる議論では、経営陣への批判から陰謀論めいた噂まで多種多様な意見が飛び交いますが、冷徹なIRデータと市場メカニズムから見れば、急落の理由は2つの明白なファクトに帰結します。
第1の衝撃は、2019年に締結された中外製薬との大型ライセンス契約が、2021年末から2022年にかけて契約解除・導出権返還に至った局面です。契約締結当時、最大500億円超という巨額のマイルストーン総額が報じられ、株価は一時数千円台まで吹き上がりました。「ロシュ・中外グループの圧倒的な開発力に乗ってグローバル展開が一気に加速する」という青写真が描かれたためです。しかし、中外製薬側のポートフォリオ戦略の変更や開発優先順位の見直しによって契約終了が発表されると、ストップ安を交えて株価は半値以下へと垂直落下しました。開発の主体が再びオンコリス自社へと戻ったことで、莫大な治験費用負担と販売網構築の難題が重くのしかかりました。
第2の要因は、新興バイオ企業の宿命でもある「資金調達による株式価値の希薄化」です。創薬開発には毎年数十億円規模の研究開発費が先行します。現預金を維持するために発行された新株予約権(MSワラント等)は、行使が進む過程で既存株主の1株当たり価値を薄め、潜在的な売り圧力となって株価の頭蓋骨を抑え込みました。「IRが出て急騰したところをワラントの権利行使に伴う空売りが叩き落とす」というパターンが定着したことが、個人投資家の不信感と投げ売りを誘発した直接的な原因です。