ステーキを上手に焼くための勝負は、フライパンに火をつける前から始まっています。まず押さえておきたいのが、肉を焼く30分〜1時間前に冷蔵庫から取り出し、室温に戻しておくことです。芯が冷え切った状態のまま強火のフライパンに投入すると、表面だけが急激に焦げて内部に熱が伝わらず、仕上がりが「外側はパサパサ、中は生焼け」という最悪の状態に陥ってしまいます。中心温度をあらかじめ15〜20℃前後に近づけておくことで、短時間の加熱でも均一に火を通すことが可能になります。
さらに味を左右するのが調味料のタイミングです。「下味は早めにつけるべき」と思われがちですが、ステーキにおいては塩コショウを振るのは「フライパンに入れる直前」が正解です。塩を振ってから長時間放置すると、浸透圧の働きで肉内部の貴重な水分と旨味成分がドリップとして外へ流れ出てしまいます。表面の水気をキッチンペーパーで丁寧に拭き取った直後に、肉の重量に対して約0.8〜1%の塩をやや高めの位置から均一に振り、即座に焼きへと移りましょう。コショウに関しても、焦げによる苦味を避けたい場合は仕上げに挽くのがスマートな選択です。