地方都市の独立系スーパーが生き残りを賭けて苦境に立たされる中、なぜサンヨネ魚町本店だけが「買い物の聖地」として熱狂的な支持を集め続けているのか。その根底には、1892年(明治25年)に初代・三浦米三郎氏が乾物屋として創業して以来、130年以上にわたり受け継がれてきた「景気や流行を追わない」「お店づくりはファンづくり」という揺るぎない理念が存在します。
現代の小売業界では、特売チラシによる一時的な集客や、コスト最優先の仕入れが常態化しがちです。しかし、代表取締役の三浦和雄氏をはじめとするサンヨネの経営陣と現場バイヤーは、目先の数字よりも「お客様の健康と食卓の豊かさ」を最優先事項として掲げてきました。「おいしさ100% 豊かな家庭は明るい食卓」という基本方針のもと、バイヤー自らが全国の生産現場へ足を運び、原材料や製造工程の安全性を五感で確かめたものだけを仕入れています。
店内に一歩足を踏み入れると、スタッフの活気ある掛け声と、商品の特徴を一目で伝える丁寧な手書きPOPが目に飛び込んできます。単に品物を並べて客に選ばせるのではなく、「なぜこの生産者の野菜が美味しいのか」「どうしてこの調味料を仕入れたのか」という物語が、売り場全体に満ちているのです。消費者が店舗に対して全幅の信頼を寄せる「心理的契約」が強固に結ばれていることこそ、他店がどれだけ価格攻勢を仕掛けても揺らがない支持基盤となっています。