建築史的な観点から見ても、ここは極めて特別な存在だ。都心部に残る木造の神社建築の多くが戦災で焼失し、鉄筋コンクリートで再建されたのに対し、現在の社殿は1730年の建立当時の姿をそのまま留めている。
朱塗りの鮮やかさを抑えた落ち着いた佇まい、細部に施された精緻な彫刻、そして星霜を経た木材が放つ重厚な質感。東京大空襲の際、周囲の街並みがことごとく焼け野原となった中でも、奇跡的に炎を免れた。この「運の強さ」と「難を逃れる力」こそが、現代における厄除けや開運の強い信仰的根拠となっている。歴史の荒波を生き抜いてきた社殿の前に立つと、単なる神聖さだけでなく、圧倒的なタフネスと包容力がじわじわと伝わってくる。