メディアからの沈黙を破り、2016年に彼女が上梓した手記『あの日』は、出版界に大反響を巻き起こした。自らの生い立ちから早稲田大学での研究生活、理化学研究所での実験プロセス、そして騒動の渦中で体験した裏側を綴ったこの手記は、単なる弁明本を超え、巨大組織とメディアの暴走を突いたドキュメントとして読まれた。
当時、過熱した報道合戦に対しては後に検証が行われ、NHKスペシャルなどによる調査報道のあり方にも厳しい視線が注がれることとなった。視聴率やPVを追求するあまり、一人の若手研究者を過剰に持ち上げ、落ち目となれば徹底的に糾弾するマスメディアの構造的問題が浮き彫りになったのである。手記『あの日』の出版は、事件の報道姿勢そのものを再考させる重要な契機となった。