刑事ドラマにおけるコワモテの刑事役から、時代劇で見せる粋な侍、さらには人間味溢れる父親像まで、彼が演じた役柄の幅は極めて広い。ステレオタイプな悪役や正義の味方には収まらない、人間の複雑な内面を浮き彫りにする演技が彼の真骨頂だった。
男らしさと繊細さ、冷酷さと温かみ。相反する要素を一つの身体に同居させるそのダンディズムは、当時の男性視聴者にとっても憧れの対象となった。スーツの着こなしひとつ、烟草の煙のくゆらせ方ひとつにまで宿る美学。それは、時代の空気を自らの生き様として投影していた表現者ならではの凄みと言える。