どれほど猥雑で凄惨な世界であっても、本作が金字塔として語り継がれる最大の理由は、主人公・狂四郎とヒロイン・志乃の絆にある。精神を病み、VRの仮想空間でしか狂四郎と会うことができない志乃。そして、過酷な戦場を生き抜きながら、ただ一人志乃のことだけを思い続ける狂四郎。
過激な肉体描写が連なる作中において、二人の間に通い合う感情はどこまでも純粋で、聖らかですらある。泥沼の中から咲く蓮の花のように、汚濁に満ちた世界だからこそ、彼らの愛は圧倒的な美しさを放つ。エロスとアガペー(無償の愛)が極限で融合したドラマ性が、今なお読者の涙を誘うのだ。