豊昇龍に対して「性格が悪い」「生意気に見える」というネガティブな印象を抱く人の大半は、取組直前の立ち合いで見せる強烈な目つきを根拠に挙げています。眉間に深い皺を寄せ、顎を突き出すようにして相手を凝視する姿は、初見の観客にとって威嚇行為や挑発のように映るのも無理はありません。
ところが、この目つきには明確な医学的理由が存在します。豊昇龍は重度の乱視を患っており、土俵上ではコンタクトレンズを外して戦っています。土俵の中央から仕切り線までの距離はおよそ数メートルありますが、強い乱視を抱えた状態では相手の輪郭や重心の位置が著しくぼやけてしまいます。そのため、焦点を合わせようと無意識に目を細める動作が、客席やテレビカメラからは「相手を激しく睨みつけている」ように見えてしまうのです。
この事実について、本人は過去の取材で「決して相手を威嚇しているわけではなく、相手をよく見ようと集中すると自然とあの表情になってしまう」と苦笑い交じりに明かしています。極限の緊張感の中で身体の反応として生じている現象が、切り取られた映像によって「威圧的な性格」と誤解される発端となっていました。
さらに、勝負に対する執念の強さも誤解に拍車をかけています。土俵際で負けた際に悔しさを隠さず見せる仕草や、勝利した瞬間に漲る自信に満ちた立ち居振る舞いが、一部の保守的な好角家から「謙虚さに欠ける」「態度が生意気だ」と捉えられてしまう側面がありました。しかしこれらは、後述する負けず嫌いなアスリート気質の表れにほかなりません。