世界規模で人類の体質を比較したとき、日本人が属する東アジア系民族には際立った特徴があります。欧米の白人(コーカソイド)やアフリカ系の人々(ネグロイド)は、遺伝的にほぼ100%がALDH2の活性型を持っており、基本的に「下戸」と呼ばれる体質の人は存在しません。
対照的に、日本人をはじめとするモンゴロイドの一部では、遺伝子変異によって酵素の活性が低下しています。日本人におけるALDH2遺伝子の分布割合は、およそ以下の3つのグループに分類されます。
- 活性型(お酒に強い / 約56%):アセトアルデヒドを素早く分解できる体質。
- 低活性型(お酒に弱い・少量なら飲める / 約40%):分解速度が遅く、飲むとすぐに赤くなる体質。
- 非活性型(完全な下戸 / 約4%):酵素がまったく働かず、奈良漬けやアルコール入りチョコでも体調を崩す体質。
つまり、日本人の約44%はお酒に弱いか、まったく飲めない遺伝的素因を持っています。この遺伝子変異は約2万〜3万年前に中国南部で発生し、稲作の伝播とともに日本列島へ広がったと考えられています。
国内でも地域差が確認されており、先住民族の血を濃く受け継ぐ東北地方や九州・沖縄地方にはお酒に強い活性型が多く、渡来人の影響が強かった近畿地方や中部地方では下戸や低活性型の割合が高いという研究結果も報告されています。