多くのユーザーが「本体を初期化すればすべてのデータが消える」と誤認してしまう背景には、Android OSのストレージ構造と非接触ICモジュールの物理的な分離構造があります。一般的な写真やアプリデータ、アカウント情報は内蔵フラッシュメモリに記録されますが、交通系ICやiD、QUICPayなどの認証情報は、高度な暗号化セキュリティに守られた独立型チップ(FeliCaセキュアエレメント)に格納されています。
Android OS側からの「ファクトリーリセット」命令は、OS管理下のストレージ領域のみを対象としており、セキュアチップ内部のデータブロックを初期化する権限を持っていません。これが、FeliCa初期化ができない理由の根本原因です。結果として、端末をまっさらな状態に戻したつもりでも、ICチップ内には旧契約者のカード識別番号や利用履歴、会員情報がそのまま残り続けてしまいます。