今日の世界的なエナジードリンク産業をゼロから切り拓いたのは、オーストリアの実業家である故ディートリヒ・マテシッツだ。彼が1980年代前半にタイの栄養ドリンクに着目し、欧米人の嗜好に合わせて炭酸を加えた新ジャンルの機能性飲料として立ち上げたのがレッドブル・ゲーエムベーハー(Red Bull GmbH)である。
単なる清涼飲料水を売るのではなく、「活力を手に入れる体験」を売る。彼が打ち立てたマーケティングモデルは、従来の飲料業界の常識を根底から覆した。製造や流通を外部に委託し、自社リソースの大部分をブランディングとカルチャー創造に注ぎ込む手法によって、世界数百カ国で年間100億缶以上を売り上げるモンスター企業へと成長を遂げたのだ。