「+1(833)」をはじめとする不審着信には、大きく分けて2つの典型的な攻撃シナリオが組み込まれています。いずれも被害者の心理的な隙を突く高度な設計が施されています。
第1のシナリオが国際ワン切り詐欺の手口です。着信音をわずか1〜2回鳴らして意図的に切断し、不在着信を残します。着信履歴を見たユーザーが「重要な用件かもしれない」「仕事関係の国際連絡だろうか」と不安を抱き、反射的に折り返し電話をかける行動を誘発します。
この折り返し架電こそが犯行グループの狙いです。発信先は一般的な電話回線ではなく、海外の悪質な通信キャリアと結託した「高額接続料(プレミアムレート)回線」に接続される仕組みが仕組まれています。日本から北米への通常国際通話料金に加え、1分あたり数千円規模の付加サービス利用料が上乗せされ、その一部がキックバックとして犯罪組織の資金源となります。
第2のシナリオは、電話に出た瞬間から始まる自動音声ガイダンス詐欺です。「こちらはNTTファイナンスです。未納料金が発生しており、法的手続きへ移行します」「総務省総合通信基盤局です。あなたの電話は2時間後に停止されます」といった、実在する公的機関や通信事業者を騙る録音音声が日本語で流れます。
音声は「詳しい確認は1番を押してください」と操作を促し、ボタンを押すと「オペレーター」を名乗る人物(受け子・出し子グループ)に転送されます。そこから「未払い料金を電子マネーで支払え」「裁判の執行を止めるために保証金を振り込め」と誘導する架空料金請求詐欺の実態へと直結していきます。