釣りを描いた金字塔といえば、誰もが巨匠・矢口高雄の『釣りキチ三平』を思い浮かべるだろう。自然への畏敬の念、綿密な生態描写、そして獲物と対峙する少年の純粋な情熱。この系譜は日本のポップカルチャーにおいて、ひとつの強固なジャンルとして確立された。
時代が下り、江の島を舞台にした異色作『つり球』のように、青春群像劇やSF要素と融合した現代的なアニメーションへとそのエッセンスは受け継がれている。自然と対話し、自己と向き合う。形を変えながらも、水辺で竿を振る物語の本質は常に次の世代へとバトンを渡してきた。