信徒に課される五行の一つ、サウム(断食)。水一滴すら喉を通すことは許されない。喫煙も、激しい怒りや悪口といった感情の乱れも慎むことが求められる。過酷に映るかもしれない。だが、本質は自己犠牲ではない。恵まれない人々の境遇に深く身を置き、日々の糧への感謝を思い出すための「心のデトックス」なのだ。
免除規定も明確だ。妊婦、病人、長旅の途上にある旅行者などは断食を免除される。決して身体を壊すことが目的ではないからだ。自分と向き合い、自制心を養い、他者への慈悲を育む。厳しい戒律の奥には、人間らしさを取り戻すための緻密な知恵が息づいている。