学校教育での規制が進む一方で、安全と演技美を極限まで両立させている事例として必ず名が挙がるのが日本体育大学だ。同大学の「集団行動」や伝統的な組み体操演目は、緻密な解剖学・運動生理学の理論と、過酷な訓練に裏打ちされたプロフェッショナルなパフォーマンスである。素人の子どもたちに無防備な状態で組ませる危険性と、徹底したトレーニングを積んだアスリートが魅せる芸術的演目との間には、明確な線引きが存在する。
身体能力が未発達な児童に高度な組み上げを強いることの危うさを提示したこの差は、教育現場における「体育」と「見せるための興行」の違いを鮮明に浮き彫りにした。科学的根拠を欠いた根性論を廃し、身体のメカニズムを理解した上でのみ表現が成立するという教訓は、現代のスポーツ指導における黄金律となっている。