検査中に「見えづらいけれど、なんとなく勘で答えたら当たってしまった」という経験を持つ人は少なくありません。しかし、実際の臨床現場では、そうした偶然の正解(当てずっぽう)を排除するための厳密な統計プロトコルが組まれています。
一般的なランドルト環検査では、切れ目の方向として「上・下・左・右」の4方向、または斜めを加えた8方向が提示されます。4方向提示の場合、まったく見えていなくても1回答えて偶然当たる確率は25%(4分の1)です。
しかし、確率論の観点から見ると、偶然が連続する確率は急速に低下します。
- 1回当たる確率:25.0%(1/4)
- 2回連続で当たる確率:6.25%(1/16)
- 3回連続で当たる確率:1.56%(1/64)
日本眼科学会やJIS規格の検査指針では、同一の視力段において「過半数以上の正答(例:3回中2回以上、または5回中3回以上の正答)」が確認されて初めて、その視力を有していると認定されます。検査員が「もう一度別の方向を見せる」のは、偶然の当たりを排除し、再現性のある確実な視力を判定するためです。
また、現代のオートレフラクトメーターや液晶デジタル視力検査機では、提示されるランドルト環の向きがランダムに自動生成されるため、事前の記憶やパターン認識による誤魔化しは不可能です。