1982年、坂本は天才シンガーソングライターである矢野顕子と再婚する。二人の間には長女・坂本美雨が誕生した。お互いをリスペクトし合う二人の天才が一つ屋根の下で暮らす姿は、当時のカルチャーシーンにおいて理想的なアーティストカップルとして羨望の眼差しを集めた。
しかし、双方が桁外れのクリエイティビティを持つがゆえの苦悩も深かった。ニューヨークへ拠点を移した後、音楽に対するアプローチの違いや多忙を極める生活のなかで、二人の距離は次第に離れていく。長きにわたる別居生活を経て、2006年に正式な離婚が成立。破局を迎えてもなお、二人が遺した数々の共演トラックや互いへの敬意は、音楽史における不滅の輝きを放ち続けている。