函館の情緒あふれる景観を象徴する西部地区の斜面地には、明治から大正、昭和初期にかけて建てられた伝統的な木造建築や和洋折衷住宅が今も整然と立ち並んでいます。歴史的価値が極めて高い一方で、防犯・防火の観点からは極めてシビアな条件下に置かれていると言わざるを得ません。道幅が狭く傾斜が急な坂道も多いため、大型の消防車両が現場に直着できないエリアが存在するためです。
このような地域では、消防隊が現場へ到着するまでの「初期消火」と「近隣間での情報伝達」が死活問題を分けます。周囲の住民同士で風向きの変化や火の回りの速さに関する情報が即時に共有されなければ、狭い路地を挟んで飛び火が連続する惨事につながりかねません。地域コミュニティによる声掛けと行政のデジタル情報発信が噛み合ってはじめて、歴史ある街並みを火災から守る防波堤が機能します。