この驚くべき現象を分子レベルで解明したのが、世界的な国際研究コンソーシアム「1000人ゲノムプロジェクト」の大規模データ解析だ。多国籍な被験者の全ゲノム配列を網羅的に照合した結果、特定の一塩基多型(SNP)を持つ人々は、ウイルスの複製効率が劇的に低いことが突き止められた。
世界的権威を誇る学術誌『Nature Medicine』に掲載された論文によると、こうした遺伝的優位性を持つ人々は、特定のインターフェロン誘導遺伝子が常時微量に活性化しており、ウイルスに対する「常時警戒体制」が敷かれているという。医学文献データベース『PubMed』に蓄積された無数の論文を遡っても、こうした免疫遺伝学的なアプローチこそが、個人の感染感受性の差を解き明かす最大の鍵であると結論付けられている。