大正時代から続く日本屈指の田園都市計画によって誕生した大田区田園調布。放射状に広がる街路樹の並木道を進むと、そこには静寂と風格が漂う。長嶋氏がこの地に居を構えたのは、巨人軍の主砲として空前のプロ野球ブームを巻き起こしていた時代だ。連日、球場での激闘を終えたミスターを追って、多くのメディアやファンがこの街の空気感に憧れを抱いた。
厳しい建築協定と住民同士の強いコミュニティ意識で守られてきた地区において、長嶋邸はまさに街の誇りだった。近隣住民にとっても、朝の散歩や街角で見せるミスターの笑顔は日常の風物詩であり、地域全体が彼のプライベートを温かく見守る独特のカルチャーが形成されてきた歴史がある。