数年前まで、日本におけるメキシコ料理の認知は限定的だった。しかし、日本メキシコ料理協会などの積極的な啓蒙活動や、本場の味を知るシェフたちの帰国が相次いだことで、状況は一変した。いまや「本物のタコス」とは、単に具材を挟んだパンではなく、生地そのものを楽しむ伝統工芸的な料理として認識されている。
特に地方都市における多様性の波は著しく、静岡県内の飲食店でも「現地の屋台の味」を忠実に再現しようとする動きが強まっている。スパイシーなシチューのようなカルニータス(豚肉のラード煮込み)や、チポトレの効いたサボテンのサルサなど、本国さながらの複雑で奥行きのある味わいが人々に衝撃を与えているのだ。