果実を摘んで食べるだけの単純なモデルから、地域の文化や食体験をまるごと楽しむスタイルへ。いま、関西の観光農業は大きな転換点を迎えている。関西広域連合が推進する広域観光周遊ルートの整備も追い風となり、農園を核としたマイクロツーリズムが活況を呈しているのだ。
生産現場の最前線で品質改良と農園演出に情熱を注ぐ辻井良樹氏のような生産者たちは、単なる直売にとどまらない付加価値の創出に挑む。土壌管理のデータ化やICTを用いた温度・湿度管理によって、いつ訪れても最高の完熟状態を提供する仕組みを構築。さらに、収穫した果実を使ったスイーツ作りのワークショップや、近隣の温泉施設・クラフト工房と連携した滞在型プランを打ち出す。
こうした取り組みが評価され、単なる週末の味覚狩りは、地域の魅力を深く知る体験型観光へと昇華した。都市住民と農村部を結ぶハブとして、いちご温室は地方創生の象徴的な舞台となっている。