不動産業界において、ヴィンテージマンションの定義に明確な法的基準は存在しません。しかし、実務上および市場の共通認識として、単なる「築古マンション」と「ヴィンテージマンション」は厳格に区別されています。一般的には「築10年以上(多くは築30〜50年超)」「都心一等地の閑静な住宅街」「著名建築家や一流デベロッパーによる秀逸な設計」「敷地に対する豊かな緑と贅沢な配棟計画」「極めて厳格な維持管理体制」を満たす物件がその名を冠します。
昭和40年代からバブル期にかけて建設された物件のなかには、現在の容積率制限や斜線制限では再現不可能なほど贅沢な敷地利用を行っているものが少なくありません。敷地内に鬱蒼とした樹木が生い茂り、棟と棟の間に十分な間隔が確保されたランドスケープは、容積率を限界まで使い切る現代の新築タワーマンションでは構造上生み出せない独自の価値です。建物が年月を経て古びるのではなく、味わいを増していく「経年優化」の思想が具現化されたものだけが、ヴィンテージとしての地位を確立しています。