馬刺しの味わいを完成させる調味料として外せないのが、とろりと濃厚な本場熊本の甘口醤油です。九州特有の甘味料(ステビアや甘草など)やアミノ酸をブレンドした再仕込み醤油は、馬肉の持つ独特の鉄分や淡白な脂の甘みと完璧に調和します。一般的な濃口醤油では塩気が立ちすぎてしまい、肉の繊細な風味をかき消してしまうためです。
薬味の合わせ方にも明確なロジックが存在します。馬刺しの薬味といえば「おろし生姜」と「おろしニンニク」が定番ですが、編集部が現地取材で得た黄金比は以下の通りです。
【部位別・薬味のベストマッチ】
・赤身・ヒレ:「おろし生姜 7:おろしニンニク 3」+刻み小ネギ
・霜降り・中トロ:「おろし山葵(わさび)」または「生姜多め」で脂の後味をキレよく整える
・タテガミ(コウネ):「醤油+少量のすりごま」または赤身と重ねて生姜醤油で
また、薬味として欠かせない付け合わせにはスライスオニオンと大葉を強く推奨します。薄くスライスして冷水にさらした玉ねぎの辛味とシャキシャキした食感、大葉の爽快な香気は、馬肉の脂の融点(約30〜35℃と牛や豚より低い)と相まって、舌の上で重層的な旨味へと昇華します。