愛する人物でありながら、常に「無垢すぎる存在」として描かれてきた柚木薫(二階堂ふみ)。しかし第13話の彼女の衣裳と行動には、あからさまな演出上の違和感が仕込まれていた。冒頭の病院シーンで彼女が着用していたのは、鮮烈な「朱赤」のドレスだ。本シリーズにおいて「赤」は一貫してテント、あるいは危険なシグナルを象徴する色として使われてきた歴史がある。
また、彼女が病院の電子カルテを操作する際、画面の反射に映り込んだ指の動きは、医療データの入力にしてはあまりにも機械的かつ高速だった。彼女は単なる医師なのか、それとも国際医療NGOを隠れ蓑にした第3の勢力の情報提供者(インフォーマー)なのか。この疑念は、彼女が乃木に渡した「ある薬のケース」の底に刻まれた刻印によって、一気に現実味を帯びてきた。