スクリーンの前で大人たちが涙を流す光景が、社会現象として報道されたことを覚えているだろうか。『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』の公開は、アニメーション映画の常識を覆した。声優によるセリフを排し、井ノ原快彦氏らが担当した温もりあふれるナレーションが、セリフのないキャラクターたちの心の機微を見事に補完したのだ。
さらにシリーズ第3弾となった『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場の不思議なコ』に至るまで、作品を一貫して貫いているのは極上の癒やし系アニメーションとしての完成度である。過度なドラマティシズムを排除し、静かに寄り添うストーリー展開は、疲弊した現代社会において特効薬のような役割を果たしている。