皮膚の直下に角質や皮脂が溜まる粉瘤の治療において、根本的な解決策は腫瘍の袋(嚢腫壁)を完全に摘出することに尽きる。塗り薬や抗生物質では一時的な炎症を鎮静化させることしかできず、外科的なアプローチが不可欠だ。
公的医療保険を利用した場合、費用の骨格は国の診療報酬点数によって厳密に定められている。露出部(顔、首、肘から下、膝から下)か、非露出部(背中、腹部、太ももなど)かによって基本点数が分かれ、さらに切除した腫瘍の直径サイズによって段階的に加算される仕組みだ。例えば、背中にできた3センチ未満の病変であれば、3割負担でおよそ4,000円から6,000円程度。顔面などの露出部であっても、7,000円から1万2,000円程度に収まるケースがほとんどだ。ここに初再診料、局所麻酔代、病理組織検査費用が加わっても、総自己負担額が2万円を超えることは極めて稀である。
それにもかかわらず、「傷跡が残らない特殊技術」という名目で5万円から10万円超の自由診療を提示される事例がある。患者の美容面での不安を煽る営業手法だが、医療経済の観点から見れば極めて不透明な請求と言わざるを得ない。