製菓・製パンの現場では、天板の温度管理が仕上がりを直接支配する。ハード系のフランスパンやピザのように、下からの急激な熱膨張(窯伸び)でバリッとしたクラストを作りたい場合は、天板を入れた状態での予熱が不可欠だ。蓄熱された天板が生地の水分を一気に押し上げ、気泡の粗い理想的な断面を生み出す。
対照的に、型に入れてじっくり火を通すスポンジケーキ、クッキー、マカロンなどの繊細な焼き菓子は、天板を外に出して予熱するのが基本だ。熱々の天板にバターを多く含むクッキー生地を直接置けば、焼成が始まる前に油脂が溶け出して形が崩れてしまう。塊肉や根菜をジューシーに仕上げるオーブン料理では、焼き目をつけたいなら天板ごと予熱、中までしっとり火を通したいなら冷たい天板からスタートと使い分けるのが賢い。