公的データが示す数字を鵜呑みにしてはいけない。国土交通省の賃金構造基本統計調査などを紐解くと、一級建築士の平均年収はおよそ650万円から750万円前後のレンジで推移していると喧伝される。しかし、この中央値を押し上げているのは、団塊世代やバブル期に入社した大手企業のシニア層であり、若手から中堅層の実態とは激しく乖離している。
資格予備校の広告には「資格取得で年収100万円アップ」「即戦力として引く手あまた」といった甘美なフレーズが並ぶ。受講料に100万円以上を投じ、睡眠時間を削って手に入れた免状が、地方の工務店や中小設計事務所では月数万円の「資格手当」に化けるだけという例は山ほどある。投資回収に何年かかるのか。資格学校のビジネスモデルが煽る幻想と、現場で支払われる対価のギャップは年々深刻化している。