死を迎えるプロセスに関しては、映画やドラマの影響による思い込みや、インターネット上の断片的な情報による誤解が少なくありません。
【誤解1:息が苦しそうだから酸素吸入や点滴を増やすべき?】
下顎呼吸や喘鳴を目の当たりにすると、家族は「窒息しそうで苦しいのではないか」とパニックになりがちです。しかし、この段階では脳幹の反射による自動運動であり、本人が息苦しさを知覚しているわけではありません。過剰な点滴投与は肺水腫や胸水を悪化させ、かえって苦痛を増大させるリスクがあるため、終末期の水分管理は必要最小限に絞るのが標準的な医療判断です。
【誤解2:自宅で亡くなったら警察を呼ばなければならない?】
「自宅で息を引き取ると事件扱いになり警察の検視が入る」という俗説がありますが、これは主治医がいない突然死の場合に限られます。事前に在宅医療の契約を結び、24時間以内に医師の診察を受けているか、終末期の経過観察中であれば、死亡時に訪問診療医を呼ぶだけで通常の「死亡診断書」が発行されます。119番通報(救急車要請)をすると蘇生処置が開始されてしまうため、自宅看取りでは「救急車ではなく在宅医に電話する」が鉄則です。