「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓に異常が生じた際、顔や手周囲に特徴的な皮膚病変が出現することは臨床上よく知られています。代表的なものが肝臓病と顔の赤みの結びつきです。
肝機能が著しく低下したり肝硬変へ進行したりすると、体内で不要になったエストロゲンを肝臓で十分に分解・代謝できなくなります。その結果、血中のエストロゲン濃度が上昇し、末梢血管を拡張させる作用が働きます。特に注視すべきは、鼻の頭や頬、首、前胸部に現れやすい肝硬変のクモ状血管腫です。中心に赤い小さな隆起があり、そこから四方八方へクモの足のように細い毛細血管が放射状に広がります。ガラス板などで中心部を圧迫すると赤みが一時的に消え、離すと再び血液が充満するのが特徴です。
手のひらの親指や小指の付け根(母指球・小指球)が赤くなる「手掌紅斑」を併発している場合は、肝機能障害がかなり進んでいるサインと捉えられます。アルコール多飲歴がある方や倦怠感が抜けない方は、早急な血液検査が必要です。