2024年のNBAプレーオフ第7戦、ホームのボール・アリーナで前半に最大20点のリードを奪ったナゲッツ。会場の誰もが前回王者のカンファレンス決勝進出を疑わなかった場面から、ウルブズは奇跡的なカムバックを果たしました。このウルブズ逆転勝利の理由を単なる「気迫の差」で片付けることはできません。米現地メディアのアナリストや米ESPNの取材データが示すのは、緻密に計算されたフィジカル戦略の結実でした。
ウルブズのクリス・フィンチHC(ヘッドコーチ)が敷いた布陣は、ルディ・ゴベア、カール=アンソニー・タウンズ(当時)、そしてシックスマン賞を獲得したナズ・リードの「3タワー体制」を絶え間なくヨキッチにぶつける消耗戦でした。前半こそパスを捌き自らも得点を重ねたヨキッチでしたが、後半になると目に見えて足が止まり、外角シュートの軌道がわずかに短くなっていきました。マッチアップ相手を常にフレッシュな状態に保ち、コンタクトを強要し続けたベンチワークが、後半ナゲッツのFG成功率を30%台前半へと叩き落とした主因です。
さらに後半、自らのシュートタッチが苦しかったアンソニー・エドワーズが「ディフェンスとプレイメイクでチームを勝たせる」とマインドセットをシフトさせた点も見逃せません。相手スコアラーのジャマール・マレーに対し、ジェイデン・マクダニエルズと共に容赦ないフルコートプレスを敢行。マレーの体力を削り取り、勝負どころでのタフショットをことごとく封じ込めた戦術転換こそが、歴史的ゲーム7を分けた分岐点となりました。