2歳前後の男児における発達の悩みで最も相談が多いのは、発語の遅れと視線の交わりにくさです。「男の子だから遅いだけ」と周囲から励まされる一方で、家庭内では意思疎通の難しさに孤独感を深めるケースが後を絶ちません。発達小児科の臨床現場では、単に「単語を喋るかどうか」以上に、相手と注意を共有する行動(共同注意)が成立しているかを重視します。
代表的な兆候として挙げられるのが、欲しいものを指で指すのではなく、大人の手を道具のように引っ張って対象物へ持っていく「クレーン現象」です。また、遠くにある興味深いものを指差して親の顔を見る「叙述の指差し」が見られない場合、他者と感動や関心を共有する心理メカニズムの発達に偏りが生じている可能性があります。
目が合わないと感じる理由についても、単なる人見知りとは構造が異なります。ASD特性を持つ子どもの場合、人の表情や目元から感情を読み取る脳のネットワーク(社会脳)の働き方が定型発達と異なっており、視覚的な刺激過多を無意識に避けるために視線を逸らすケースが指摘されています。名前を呼んでも振り返らないのに、好きなテレビ番組のCM音楽には即座に反応するといった聴覚的な選択性も、2歳男児によく見られる特徴的なサインの一つです。