テレビバラエティの黄金期において、大竹兄弟の瓜二つぶりは格好のエンターテインメント素材となりました。その最たる例が、昭和から平成初期にかけて放送された数々のバラエティ番組での「影武者・入れ替わりドッキリ」です。
当時の特番やスタジオ企画では、大竹まこと氏が生放送やロケの途中で何食わぬ顔をして弟のオサム氏と入れ替わるという演出が敢行されました。共演者のタレントや司会者が数十分間にわたって全く気付かずにトークを進行し、ネタばらしの瞬間にスタジオが騒然となる光景は、視聴者に強烈なインパクトを残しました。
関係者の証言によると、二人は外見だけでなく「声の周波数やイントネーション、口調のシニカルな間合い」まで酷似していたため、リハーサルなしでも違和感を生じさせなかったといいます。しかし、オサム氏は単なるバラエティの飛び道具で消費されることを潔しとせず、一定の話題作りを果たした後は自身のフィールドである文筆と料理の世界へと軸足を戻しました。この節度ある距離感こそが、兄弟それぞれのブランド価値を損なわなかった要因といえます。