沖縄の12月と聞いて「常夏のビーチリゾート」を連想するのは危険な先入観です。気象庁の平年値データによると、12月の那覇市における平均気温は18.7度、日中の最高気温は約21.2度、夜間や早朝の最低気温は約16.3度を記録しています。数字だけを見れば、東京の10月下旬から11月上旬頃の心地よい秋気候に思えるかもしれません。しかし、ここに大きな気象の罠が潜んでいます。
冬の沖縄における最大の特徴は、東シナ海を渡って吹き付ける強烈な北風です。気象学の知見では、一般に風速が1メートル増すごとに体感温度は約1度下がるとされています。12月の沖縄本島周辺では平均風速が毎秒5〜7メートルに達する日が多く、海沿いの景勝地やビル街の谷間では毎秒10メートルを超える突風が吹き抜ける場面も珍しくありません。
仮に気温計が18度を示していても、秒速6メートルの北風に晒されれば、人間の肌が感知する温度は12度前後まで冷え込みます。さらに12月は雲が広がりやすく、日照時間が年間を通じて少ない時期にあたるため、日差しの温もりを期待できない日が多くなります。これが、現地へ到着した観光客が「想像以上に寒い」と声を揃える物理的な根拠です。