取材班は、晩秋の朝、高尾駅から甲府行きの普通列車に乗り込みました。ホームに滑り込んできたのは、アルパインブルーとリフレッシンググリーンの帯を纏った中央本線211系運用の6両固定編成(1000番台セミクロスシート車を含む編成)です。
扉が閉まり、マスコンハンドルが引かれると、床下から「クォーン」という独特の送風機音とともに、MT61主電動機が重厚な唸りを上げて加速を始めます。現代のVVVFインバータ車が放つ高周波のインバータ音とはまったく異なる、空気を震わせるような低音のトルク感。小名路トンネルへ突入する際の心地よいジョイント音と相まって、車内には昭和から平成初頭の鉄道旅の空気がそのまま凝縮されています。
通学で毎日利用しているという山梨県内の男子高校生に話を聞くと、「新しい電車に比べて座席のクッションがふかふかで座り心地は好き。でも、ドア横の立席スペースが狭くて混雑時は少し窮屈に感じる」と、日常利用者のリアルな実感を語ってくれました。
現場の211系編成表をチェックすると、3両編成を2本連結した6両編成や、中間にセミクロスシートを備えた1000番台、オールロングシートの2000番台・3000番台が巧みに組み合わされていることがわかります。しかし、観光路線としての側面を持つ中央本線において、ロングシート車が運用に入った際の行楽客の落胆の声もSNS等では散見され、国鉄型特有の設備格差が浮き彫りになる場面もあります。