一般の読者が抱きがちな大きな誤解として、「医師が逮捕されたら、その場ですぐに医師免許が取り消される」という認識があります。しかし、日本の法制度上、逮捕や勾留の段階で免許が失効することはありません。
医師法第7条に基づく行政処分は、裁判によって有罪判決(禁錮以上の刑や罰金刑など)が確定した後に、厚生労働大臣の諮問機関である医道審議会において審議されます。年に数回開催される審議会で事案ごとの情状や反省の態度が審査され、以下の3段階の処分が決定されます。
- 戒告:将来を戒める最も軽微な処分。
- 医業停止(1ヶ月〜3年):一定期間、医師としての診療行為を一切禁止する処分。
- 医師免許取消:医師資格そのものを剥奪する最も重い処分。
刑事裁判の結審から医道審議会の答申までに1年以上の歳月を要することも珍しくありません。このタイムラグが、「事件を起こした医師がまだ免許を持っている」という世間の不信感を増幅させる要因の一つとなっています。