2000年代カルチャーを再解釈する「Y2Kトレンド」の定着とともに、メッシュキャップ流行の真相は単なるノスタルジーにとどまらない広がりを見せています。最大のトリガーとなったのは、MLB(メジャーリーグベースボール)を軸とするスポーツカルチャーの日常化です。特に大谷翔平選手の世界的躍進に伴い、ロサンゼルス・ドジャースなどのチームロゴを冠したキャップは、年齢や性別を問わずタウンユースの標準装備となりました。通気性に優れ、後頭部が蒸れない実用性は、近年の過酷な日本の夏〜秋の気候にも合致しています。
しかし、ネット上で「メッシュキャップ ダサいと言われる理由」が絶えず検索される背景には、このアイテムが背負ってきた強烈な歴史的記号が関係しています。もともとアメリカの飼料会社やトラック輸送会社が宣伝用ノベルティとして配っていた「トラッカーキャップ」は、スポンジ前立てにプラスチックメッシュというチープさが持ち味でした。これが日本に輸入された際、2000年代初頭の裏原宿ムーブメントで爆発的に流行したものの、その後の急速な大衆化によって「休日に適当な服と合わせる中年男性」「粗野なドライバー」というステレオタイプが定着してしまった経緯があります。
つまり、人々が恐れているのはメッシュキャップそのものではなく、「更新されていない古いアメカジ感覚」や「生活感の丸出し」です。現在のトレンドは、こうした過去のチープ感を逆手に取り、シルエットの再設計や上質素材の採用によってモードやラグジュアリーストリートへ昇華させる点に本質があります。