若年層から働き盛り世代にかけて多発するのが、過換気症候群(過呼吸)による発作です。器質的な重症疾患による呼吸困難と過呼吸には明確な病態の違いが存在します。
過呼吸は、精神的な不安やパニック発作を契機に必要以上の換気を行ってしまうことで生じます。呼気から二酸化炭素が過剰に排出され、血液が急激にアルカリ性へと傾く(呼吸性アルカローシス)結果、手足のしびれや口周囲の硬直(テタニー症状)が現れます。「息が吸えない」と感じてさらに激しく吸おうとする悪循環に陥るのが典型パターンです。
一方、心不全や重症肺炎による呼吸困難では、血液中の二酸化炭素が蓄積しやすく、酸素化が破綻していきます。手足のしびれよりも、全身の倦怠感、冷や汗、呼吸数の絶対的な増加が前景に立ちます。自己判断で過呼吸と決めつけるのは禁物であり、過去に過呼吸の診断を受けたことがない場合や胸痛を伴う場合は、まず器質的疾患を疑う姿勢が欠かせません。