植木職人の相談窓口や園芸Q&Aコミュニティにおいて、マキの木に関する後悔の声として最も目立つのが「剪定した直後から葉先が赤茶色に変色し、全体が見苦しくなった」「内側の枝から葉が落ちて骨組みだけが露出した」というトラブルです。頑健に見えるマキの木が、なぜ剪定をきっかけに急激に衰弱してしまうのか。現場検証から浮かび上がった決定的な理由は主に3点あります。
第1の要因は、刈込鋏による「葉の切断」と時期の誤りです。マキの葉は細長く肉厚なため、刈り込み鋏で葉の途中をぶつ切りにすると、切断面から水分が蒸散して数日から数週間で茶色く壊死します。特に夏場の猛暑期や冬の乾燥期にこの切り方をすると、木全体に著しいストレスがかかり、枝枯れを引き起こします。
第2の要因は、フトコロ枝(樹冠内部の枝)の日照不足による枯れ上がりです。外側だけをきれいに刈り揃える手入れを何年も続けていると、表面の葉ばかりが密生し、木の内部に日光と風がまったく届かなくなります。その結果、内側の古い葉や枝が次々と枯れ落ち、外皮一枚しか葉がない「張り子の虎」のような状態に陥ります。この状態で外側を深く切り戻すと、葉のない枝だけがむき出しになり、二度と芽吹かなくなるケースがあります。
第3の要因は、マキサビダニなど微小害虫の見落としです。剪定の失敗だと思い込んでいたところ、実際には剪定によって樹勢が落ちた隙にマキサビダニが大量増殖し、新芽を食害して奇形化・枯死させていたという事例が数多く報告されています。