引退説や病気療養の噂を最も鮮烈に粉砕したのが、2024年に開催されたコンサート『中島みゆき コンサート「歌会 VOL.1」』でした。全国ツアーの中止から約4年、ファンが固唾をのんで見守るなか、東京国際フォーラム ホールAとフェスティバルホール(大阪)の2会場において、全16公演にわたる待望の有観客ステージが敢行されたのです。
現場を訪れた音楽関係者や観客の証言は、噂がいかに的外れであったかを雄弁に物語っています。オープニングの暗転から彼女がスポットライトを浴びて登場した瞬間、会場を包んだ割れんばかりの拍手とすすり泣く声。そして、70代を迎えているとは到底信じがたい、圧倒的な肺活量と声量による第一声でした。
「倶に(ともに)」「銀の龍の背に乗って」「地上の星」といった名曲の数々が披露されるなか、高音部の伸びやかなサステイン、情感を極限まで込めた低音の語り口は、全盛期と寸分違わぬ鋭さを保っていました。MCでは、かつての『オールナイトニッポン』を彷彿とさせる豪快な語り口で客席を笑わせ、「お待たせしました!」と笑顔を弾けさせました。
この「歌会 VOL.1」は後に映画館での劇場上映も行われ、チケットを入手できなかった全国十数万人のファンに届けられました。スクリーンの大画面に映し出されたその肌艶の良さと、一音一音に魂を削り出すようなエネルギッシュな歌唱姿は、病気説を完全に払拭する決定打となったのです。