現在レンタルや中古市場で流通している本作には、タイトルに「完全版」という表記が付記されています。これについて「テレビで放送されたものと何が違うのか」と疑問を持つ方も少なくありません。
実は、1997年12月30日に地上波で本放送されたオリジナル版と、のちに映像ソフト化された「完全版」には、編集面において明確な差異が存在します。本放送時は年末特番としてのタイトな放送枠(2時間半枠)に収めるため、監督の本広克行や脚本の君塚良一が意図したシーンの一部が泣く泣くカットされていました。
完全版では、以下の要素が再編集・追加されています。
- 未公開シーンの復活:湾岸署内の日常描写や、署員同士の細かな掛け合い、年末特有の慌ただしさを描いたコミカルなカットが約15分以上追加。
- 鏡久市との対決シーンの強化:青島俊作が取調べ室で鏡久市と向き合う場面の緊迫感が、間(ま)の調整や未公開アングルの挿入によってさらに重厚にビルドアップ。
- 音響・画質のデジタルリマスタリング:DVD化に際し、テレビ放送用の音声バランスからパッケージソフト向けの迫力あるサウンドへとブラッシュアップ。
つまり、仮に将来的に権利関係が奇跡的にクリアされ、FODなどで地上波再放送版がそのまま配信されたとしても、それは短縮版に過ぎない可能性があります。作品の真の魅力を余すところなく堪能したいコアなファンにとっては、現在DVDで流通している「完全版」を鑑賞することこそが、最も価値ある視聴体験と言えます。