こうした蝶形骨にまつわるトラブルに対し、欧米の徒手医学であるオステオパシーでは古くから「頭蓋仙骨療法(クラニオセイクラル・セラピー)」と呼ばれるアプローチが発展してきました。
頭蓋仙骨療法では、施術者が5グラム程度の極めて微細なタッチで頭蓋骨に触れ、蝶形骨と後頭骨の間の緊張を解きほぐしていきます。バキバキと音を鳴らす強い矯正ではなく、組織が自然に元の可動性を取り戻すのを誘導する手技です。緊張が緩むと、頭蓋骨の本来の柔軟なポンプ作用が再開し、自律神経の過緊張が即座に鎮静化していきます。
国内の整体やカイロプラクティックでも頭蓋骨調整を取り入れるサロンや治療院が増加傾向にあります。施術を受けた患者からは、「視界が一気に明るくなった」「重かった頭が嘘のように軽くなり、その日の夜は泥のように深く眠れた」といった声が寄せられます。蝶形骨のポジションを整えることは、物理的な骨格矯正を超えて、神経系のリセットボタンを押すような効果をもたらすアプローチといえます。