「縮毛矯正はやめたいけれど、くせ毛の広がりをそのまま放置するのは耐えられない」という心理の隙間に滑り込んできたのが、近年の「髪質改善トリートメント」や「酸熱トリートメント」です。しかし、これらを縮毛矯正の「痛まない上位互換」と誤認して飛びつくと、深刻な二次被害に直面します。
まず、髪質改善トリートメントとの違いを正しく認識しなければなりません。「髪質改善」という名称は業界内で法的な定義がなく、各サロンが自由に名付けています。実態は以下の3パターンに分かれます。
- 微弱な還元剤が入った「マイルドな縮毛矯正」:コスメストレートや弱酸性縮毛矯正。クセは多少伸びるが、当然ながら化学的ダメージは確実に蓄積する。
- 酸熱トリートメント(グリオキシル酸・レブリン酸等):毛髪内部に新たな結合(イミン結合)を作り熱で定着させる。うねり自体をまっすぐ伸ばす力は極めて弱い。
- 高濃度システムトリートメント:表面コーティングと内部タンパク質の補充。持続期間は2週間程度で、くせ毛の構造自体は一切変化しない。
特に注意すべきは酸熱トリートメントのデメリットです。酸熱トリートメントは、毛髪に適したpH値を下回る強酸性領域で作用させるため、連続して施術を受けると髪のタンパク質が過剰に引き締まる「過収斂(かしゅうれん)」を起こします。過収斂に陥った毛髪はガラスのように硬化し、しなやかさを失って毛先からプチプチと折れてしまう現象(酸焼け・熱劣化)が多発しています。
ネット上の掲示板でも「酸熱トリートメントを毎月繰り返したら、縮毛矯正よりもバサバサになって取り返しがつかなくなった」という相談が絶えません。縮毛矯正から酸熱トリートメントへ乗り換えるだけで問題が解決するわけではなく、薬剤の仕組みを理解せずに「サロンのおすすめ」を鵜呑みにすることは避けるべきです。